【対談まとめ】小島葬儀店×磯子区のお店
(更新)

左からmomolana・新堀さん、
小島葬儀店・内藤さんご夫妻
パートナーの棺に蓋を閉める。その瞬間、あなたは何を感じるでしょうか。
横浜市磯子区。警察署と消防署を挟んで向かい合う2つの建物があります。一つは、創業から地域を見守り続けてきた「小島葬儀店」。もう一つは、西洋占星術と足ツボで心身を整えるサロン「momolana」です。
一見、接点がないように見えるこの二者が、2025年10月にあるコラボイベントを開催しました。それは、西洋占星術でお互いの関係性を見つめ直した後、実際にパートナーに棺に入ってもらう「入棺体験」を行うというもの。
なぜ、葬儀社が占星術と組んだのか? そこには、「葬儀」という儀式が持つ本来の意味と、時代と共に変化する「家族の形」への深いまなざしがありました。
今回は、小島葬儀店の内藤さんご夫妻と、momolana代表・新堀さんの対談から、イベントの裏側にあった想いと、そこから見えてきた「新しい供養の形」についてお届けします。

「占いは当てるものではなく、自分と向き合うための『内観ツール』です」と語る代表の新堀さん。ももたろう整骨院の2階にある隠れ家的サロンです。西洋占星術で心の現在地を読み解き、リフレクソロジーで身体の不調を整える、「心と体」の両面からのケアを提供しています。

昭和初期の創業以来、磯子区で地域に寄り添い続ける葬儀社。「ご家族のお気持ちに寄り添ったご葬儀で、真心をカタチに」をモットーに、内藤さんご夫妻が中心となって営んでいます。
近年は「葬儀社をもっと身近な存在に」という想いから、地域の異業種とのコラボイベントを積極的に開催し、新しい供養の形を模索しています。
▼これまでの小島葬儀店の対談はこちら

──今回のコラボレーションは、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?
小島葬儀店 内藤さん:
きっかけはシンプルで、本当にご近所さんだったんです(笑)
道を挟んで向かい側にmomolanaさんが入っている「ももたろう整骨院」さんがあって、ずっと気になっていました。 今までも異業種の方とコラボはしてきましたが、次は今までと違う方向性でやりたいなと。
私はずっと「入棺体験」をやりたかったんですが、ただ棺に入るだけじゃなくて、何か「内面を見つめ直す」ものと組み合わせたかった。それが「星占い」だと気づいた時に、これは新しい視点になる!と思ったんです。
小島葬儀店 内藤さんの奥様:
実は私、個人的に新堀さんに救われた経験があるんです。 すごく悩み事があって立ち止まっていた時期に、momolanaさんで足ツボと占いを受けました。3時間くらい話を聞いてもらって…。
自分の状況を星周りから客観的に見てもらって、「どうしたらいいかわからない」状態から抜け出せたんですよね。その時の感謝があったので、このコラボにはすごく思い入れがありました。

momolana 新堀さん:
占いは「当てる」ことよりも、現状を客観的に把握して自分と向き合うための「内観ツール」なんです。だから、「自分を見つめ直す」という点で、葬儀という儀式とはすごく相性がいいなと感じていました。

──実際のイベントは、どのような流れで行われたのですか?
momolana 新堀さん:
前半は、西洋占星術を使った「相性診断」です。ただの占いではなく、「風の時代」という今の時代の価値観をベースにお話ししました。
1つ前の地の時代は、お金や土地など「目に見える豊かさ」が重視されましたが、今は「目に見えない豊かさ」や「個」が尊重される時代。だからこそ、パートナーシップも「あるべき論」ではなく、お互いの個性を認め合うことが大切なんです。
小島葬儀店 内藤さん:
お互いの性質を理解したところで、いよいよ「入棺体験」です。でも、すぐに入るわけではありません。 まず、パートナーへの手紙を書いてもらいました。感謝の言葉と、もう一つは「相手の嫌なところ」。

──「嫌なところ」ですか?
momolana 新堀さん:
はい。嫌なところを書いた紙は、その場で火をつけて燃やすんです。これは私のこだわりとして、絶対にやりたかったんです(笑)
モヤモヤした感情が、煙となって物理的に消えていく。それを見届けてすっきりした状態で、感謝の気持ちを持って棺に入ってほしかったんです。

小島葬儀店 内藤さん:
そして、実際に棺に入り、パートナーが蓋を閉める。 蓋を閉めるというのは、世界が変わる瞬間です。1分間の黙祷の後、蓋が開く。それは「死と再生」の擬似体験であり、「これからの時間」をどう生きるかを感じてもらうためのスイッチなんです。

──参加された方の反応はいかがでしたか?
小島葬儀店 内藤さん:
直後は皆さん、「感情がぐちゃぐちゃ」という感じでしたね。言葉にならない、放心状態のような。でも、後日、体験中の様子を撮影した動画を送った時に、すごく深い感想をいただきました。 実は僕自身も、その動画を見てハッとさせられたんです。
──どのような気づきがあったのですか?
小島葬儀店 内藤さん:
動画の中で、棺に入っていく奥さんが「ニコニコ」笑っていたんです。そして、旦那さんが蓋を閉めていく。実際の葬儀の現場では、亡くなった方は笑いません。動くこともありません。
「笑顔で棺に入り、蓋が閉まっていく」。その映像を見た時に、現実の葬儀とのギャップが重なって、「ああ、この人はまだ生きているんだ。大切にしなきゃいけない」と、強烈に突きつけられました。他者を通して、自分自身の家族の大切さにも改めて気づかされたんです。

momolana 新堀さん:
棺の小窓を閉める瞬間、皆さんすごくグッとくる表情をされていましたよね。お子さんが親御さんの棺の窓を閉めるシーンもありましたが、あれは本当に言葉にできない空気感でした。
──葬儀と占い。全く違う分野ですが、共通点はありましたか?

小島葬儀店 内藤さん:
すごくありました。先ほど新堀さんがおっしゃった「時代の変化」は、葬儀の現場でも起きています。 昔は「参列者が何人来たか」「祭壇がどれだけ豪華か」が価値でしたが、今は違います。
「家族だけでゆっくり送りたい」「お金をかけるより、気持ちを大事にしたい」。形式よりも、その人らしさや内面の豊かさを重視するようになってきているんです。

momolana 新堀さん:
そうなんです。だからこそ、これからは「その人らしい送り方」を提案できると思うんです。
例えば、ホロスコープでその方の性質を見て、「獅子座(表現者)だったから、しめやかにやるより、その人の人生を華やかに表現するような演出がいいんじゃないか」とか。ご家族のお話と星の性質を合わせることで、故人様が「本当はこうしたかったんじゃないか」という想いを汲み取るお手伝いができるかもしれません。

小島葬儀店 内藤さんの奥様:
「死を美しく飾る」というのは、表面的なことではなく、「その人らしく生き抜いた証」を表現するということですよね。葬儀って、亡くなった方のためだけじゃなく、残された人が「これでよかったんだ」と納得して、前を向くための儀式でもありますから。

──最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
小島葬儀店 内藤さん:
葬儀の最中に、「もっとこうしてあげればよかった」と後悔される方はたくさんいらっしゃいます。身近な人が亡くなって初めて、「自分もいつか死ぬんだ」「明日は何が起こるかわからない」と気づく。でも、今ならまだ間に合います。
「入棺体験」で一度立ち止まって、「もしも」を想像してみる。そうすると、「今日は優しくしよう」「帰りにこれを買って帰ろう」など、明日からできることが見えてくるはずです。小島葬儀店は、葬儀をするだけの場所ではなく、そういった「生きるための気づき」も提供できる、地域に開かれた場所でありたいと思っています。
小島葬儀店 内藤さんの奥様:
今回のコラボを通じて、「美しく最後を迎えるためには、今を一生懸命に生きることが大切なんだ」と、私自身も改めて感じました。 葬儀社として『最後のお見送り』をさせていただく私たちですが、そこに至るまでの『生きる時間』も応援したい。今回の占いとのコラボのように、いろんな形を通して、地域の皆さんが笑顔で人生を全うできるようなお手伝いを続けていきたいですね。
momolana 新堀さん:
「風の時代」は、個の時代であり、横のつながりの時代です。磯子区というこの場所で、私たちのような異なる業種が手を取り合うことで、皆さんの人生の節目に寄り添える新しい選択肢を増やしていけたら嬉しいですね。

対談前後も、終始和やかな時間でした
【編集後記】
「棺に入ると、世界が遮断される」…。取材中、内藤さんが語った言葉が印象的でした。日常の忙しさの中で、私たちはつい一番身近な存在を「当たり前」に感じてしまいます。しかし、いつか必ず「蓋が閉まる」時はやってくる。 小島葬儀店とmomolanaが提供したのは、単なるイベントではなく、「当たり前の日常」がどれほど愛おしいものか再確認する、あたたかな時間でした。
もし、あなたが何かに迷ったり、ふと立ち止まりたくなったりした時は、この2つの扉を叩いてみてください。そこには、あなたの「心」と「これから」を真剣に考えてくれる、温かいプロフェッショナルたちが待っています。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。