【対談まとめ】小島葬儀店×磯子区のお店
(更新)

アートルームルミエールのもちづきももかさん(左)、青山絵美加さん(中央)と、小島葬儀店の内藤碧海さん
「お父さん、ありがとう」。その気持ちを、藍染に込めて…。
2025年6月15日、父の日を前にした日曜日。横浜市磯子区にある『小島葬儀店』を会場に、藍染体験ワークショップが開催されました。
根岸で子どもたちの創造力を育むアートルームルミエールと小島葬儀店のコラボレーションは、当初10名ほどを想定していたところ、約20名の参加希望があり、急遽午後の部も設けるほどの盛況ぶりでした。
父の日のプレゼント作りから始まった創作体験。そこから見えてきたのは、アートと葬儀という異なる分野が持つ、意外な共通点でした。


根岸駅近くで、従来の絵画教室とは一線を画すアプローチで子どもたちの創造力を育んでいます。
代表の青山絵美加さんは「子どもたち自身が目標を設定し、0から1を作り出す力を育てたい」という想いから教室を開設。もちづきももかさんをはじめとする講師陣とともに、課題に縛られない自由制作を中心とした指導を行っています。

昭和初期の創業以来、磯子区で地域に寄り添い続ける葬儀社。
「ご家族のお気持ちに寄り添ったご葬儀で、真心をカタチに」をモットーに家族経営で葬儀社を営んでいます。近年は生前から人生を豊かに過ごすための「終活」に関するセミナーやワークショップも精力的に展開しています。
~~過去の小島葬儀店さんの対談記事~~
参加者は5歳から中学生までと幅広く、全員がご家族での参加。父の日という時期も重なり、お父さんと一緒に体験したり、お父さんへの感謝を込めたプレゼント作りに取り組んだりと、家族の絆を深める場面が随所に見られました。
今回選ばれた藍染めという技法について、もちづきさんはこう説明します。
もちづきさん:
身近なビー玉と輪ゴムだけで、小さなお子さんでも楽しめる技法です。何より、お父さんと一緒に『世界に一つだけの作品』を作れることで、普段なかなか言葉にしにくい感謝の気持ちを自然に表現できるんです。

初めて藍染めを体験した内藤さんは感動を語ります。
内藤さん:
空気に触れた瞬間に鮮やかな藍色に変わる化学反応は本当に美しく、子どもも大人も同じように『わぁっ』と驚きの声を上げていました。
特に印象的だったのは、子どもたちに迷いがないこと。大人は『こうなるかな?』と考えてしまうけれど、子どもたちはもうペンを走らせるように、すぐに手を動かし始めるんですよね。


「藍染めは、どんなに考えても思い通りにならない部分があります。偶然できる模様の美しさがあって、完璧を求めなくてもいいアート。だからこそ、子どもから大人まで皆さん楽しめたのだと思います」ともちづきさん。
失敗という概念がなく、どんな結果も「自分だけの作品」として受け入れられる安心感の中で、参加者それぞれが「つくる喜び」を味わいました。
イベントを通じて見えてきたのは、アートと葬儀という異なる分野の意外な共通点でした。
もちづきさんは創作活動の本質をこう語ります。

もちづきさん:
アートをする時も、故人のことを思う時も、心の中にある抽象的な感情を形にしていく作業だと思うんです。
普段の生活では見えないその人への想いを、作品や葬儀という形で可視化する。
そこに大きな共通点を感じます。
代表の青山さんは、アートと人生のつながりについて深い視点を示してくれました。

青山さん:
アートの本質は作品を作ることではなく、その過程で自分なりの哲学やものの見方を育てることです。それは生きることに直結しています。
葬儀も一人ひとりの生きてきた軌跡を表現する場ですから、人の生命活動そのものに関わる点で共通していると思います。
内藤さんも、葬儀の現場での経験を踏まえてこう話します。

内藤さん:
葬儀にも正解がありません。それぞれが体験してみて、どう感じるかが大切です。
私たちは、その気持ちを汲み取って、自分と向き合える空間を作ります。そこで何かを納得できれば、それが前向きな力になると信じています。
対談で最も印象的だったのは、「正解がない」ということの意味について語り合う場面でした。
青山さんは、アート教育の現場での経験を通じてこう話します。

青山さん:
最初は周りに受け入れられる正解を探そうとするんです。
でも正解のない世界に慣れていくことで、『このままの自分の表現でいいんだ』と思えるようになる。
自分の感覚を信じることは、積み重ねでしか得られないものです。
内藤さんは、この「納得する」ことの重要性を藍染め体験を通じて実感したといいます。

内藤さん:
実際に染めて開いてみて、『もう少しここに色をつければよかった』と思っても、それは経験しなければわからなかったことでした。
できあがったものに対して、『これが自分の作った作品だ』と納得することが大切です。
葬儀でも同じで、『あの時、もっと話しておけばよかった』と思うご家族もいらっしゃいますが、その時その時で精一杯だったということを受け入れて、前向きに歩んでいけることが何より重要だと考えています。
青山さんは、この「受け入れる力」についてさらにこう続けます。
青山さん:
自己理解ができていない人は他者理解もできません。自分と向き合うアートや創作活動で自己理解を深めることで、他者を受け入れる力も育つ。
葬儀も、故人や家族の様々な想いを受け入れながら表現していく営みだと思います。

今回のコラボレーションから考える今後の展開について、内藤さんはこんなアイデアを話してくれました。
内藤さん:
陶芸でお線香立てや香炉など、仏具をお子さんたちが作ってみるのもいいですね。
秋には朱染めをしてみたり、大人向けのイベントも開催してみたいです。
もちづきさん:
生徒さんたちにオリジナルの祭壇を作ってもらうのも面白そうです。自分だったらどういう祭壇がいいか考えてもらって、自由に表現してもらう。きっと私たちが思いもつかないような新しい発見があるかもしれません。
青山さんは、教育的な観点からこんな可能性を語ります。
青山さん:
生と死について考えることは、子どもたちにとっても人生を考える探究学習として価値のある機会になると思います。
普段はなかなか話題にしづらいテーマですが、創作活動を通してなら自然に向き合えるのではないでしょうか。

藍色に染まった布を手に、参加者たちが見せた満足そうな表情。「思った通りにならなかったけど、これはこれでいいね」「お父さん、喜んでくれるかな」。そんな声が聞こえてきそうな温かい時間でした。
今回の対談を通して、アートと葬儀という一見異なる分野に、共通点があることが分かりました。
どちらも「心の中にある想いを形にする」ことであり、答えが1つに決まっていないこの社会で自分なりの表現を見つけていくことでした。
アートルームルミエールの自由な創作スタイルと、小島葬儀店の「その方らしいお葬式」への想い。根岸という同じ地域で、それぞれ違ったアプローチで人々の心に寄り添う活動をしている二者の出会いは、きっと新しい何かを生み出していくことでしょう。
次回は陶芸で仏具作り?それとも朱染め?どんなコラボレーションが生まれるのか、今から楽しみです。
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次回のイベントについては、小島葬儀店のSNSや当サイトでお知らせいたします。ぜひチェックしてみてください。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。