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まいぷれ五・七・五

「無人駅句会」2023年7月だより

 2023年7月の「無人駅句会」は10名が参加しました。今回は東氏が選句した10句の俳句をご紹介いたします。

(撮影:和夫)

おひさまいちで買い物をして表に出ると東の空に虹が出ていました。通りかかったおひさまいちの方は、「今年は夕立の後よく虹が出ています」と話されました。そいえば今年は夕方よく雨が降る時期がありました。こんな時同じ所に住む知人に知らせたくなりますね。知人に電話をすると、「こちらの方では雨が降っていて虹は見えない」と言われました。残念。(和夫記)

聞き流すAIニュース夏カレー         岡田敬子

 此の頃、テレビの画面にニュースの時などに『AI音声』と表示される事がある。何処か淡泊。アナウンサーは時々言葉を噛んでいるが、噛むことは生放送の味であり、人間味があると思う。ちょいと耳も欹(そばだ)てるというもの。AIだと噛まないから、用事をしている時などは聞き流してしまう。ましてや夏のカレーである、空腹だ、匂いと味とにAIニュースどころではない。季語「夏」(夏)。

この橋に来て夕焼を見て帰る          岡本哲典

 海沿いの橋か海の見える山の小さな橋か、何時もの通い馴れた道に掛かる橋だ。久し振りに出会う夕焼である。橋の真ん中で立ち止まった。本当に美しいと思う、そして身体が浄化されていくのを感じるのである。季語「夕焼」(夏)。

閑散と待合室も梅雨に入り           東隆美

 予約制の病院とか美容室の待合室だろうか、待合室の人は疎(まば)らである。ほとんどがマスクをしているであろう。漂うのは寡黙な空気感でけだ。雨粒が窓ガラスを伝って流れ落ちている。梅雨に入った事を静かに実感している。季語「梅雨入り」(夏)。

靴下を白に履き替え半夏生           熊本妙子

 半夏生は二十四節気の夏至の三候。「半夏」は半夏草、すなわち『烏柄杓(からすびしゃく)』のことで、この草が生え始める頃という意味。夏真っ盛りである。普段の靴下を履いていたが、お出かけである、夏らしく白地の靴下で気合を入れた。季語「半夏生」(夏)。

縞馬の縞のほどけてゆく昼寝          河野けいこ

 真昼、冷房の効いた部屋で、転(うた)た寝が何時しか眠り込んでしまった。眠りの中にふっと現れた縞馬が迫って来る、アッと思った瞬間、ゼブラの縞が帯を解くように解けていったのだ。非現実的な空想、まさに白昼夢であった。季語「昼寝」(夏)。

探偵のような顔して蟇(ひきがえる)も      しづか

 最近住宅化が進み、田畑は消えていった。自ずと蟇も街から姿を消した。ガマとも言われ、昭和の忍者ものの絵にはよく登場した。大柄で動きは鈍くグロテスクである。常に草むらに居て一点を睨んだ視線は動かない。粘り強い探偵のようだ。季語「蟇」(夏)。

夏帽子二駅乗れば海の駅             和夫

 ローカル線の風情がある。下りた駅からは眼前に海が広がる。街からほんの二駅のところにこの景色である。燦燦と降り注ぐ陽射しはきついが、雄大な解放感を味わっているのだ。海風に夏帽子(麦わら帽子か)が飛ばされそう。季語「夏帽子」(夏)。

面会はまだガラス越し梅雨湿り          日暮屋

 コロナが五類になったとは言え、病院ではまだまだマスクは暗黙の義務。未だ面会もままならなずガラス越しである。気温も湿度も高く鬱々(うつうつ)とした日々が続く。全くの梅雨湿り、このパンデミックの終息は。季語「梅雨湿り」(夏)。

疎(うと)き日の水の底なるところてん      岡本亜蘇

 なんと今日は五感の鈍くボーっとした日であることか。小川には水底に水草が揺れていて、それはところてんが揺れているようだと私。作者は五感のすぐれないまま、ところてんをボールに移し水を注ぐ。確かにところてんは水の底。季語「ところてん」(夏)。

カナリアの眼の先にある海の家          東英幸

 カナリア、と言われると童謡『歌を忘れたカナリア』(歌を忘れたカナリアはひどい仕打ちに合うがやがて歌を思い出す)が浮かび、哀しいイメージがある。愛玩用に籠に飼われたカナリアもどこか哀しい。海の見える別荘で飼われているのか、カナリアは賑わうビーチの海の家をただ見ているだけなのだ。季語「海の家」(夏)。

(東英幸 記)

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